来たる今年10月、消費税が8%から10%に増税される予定。大きな買い物になる住宅購入において、2%の差は大きい。そこで、家を買うなら増税前だ!と焦っているあなた、ちょっと待った! 必ずしも増税前がお得だとは限らないのです。
そもそも消費税は、土地にはかかりません。建物部分2500万円、土地部分2500万円、計5000万円の物件を購入した場合、その差額は50万円(2500万円の2%)。
大きな消費の割に、思った以上に差額が少ないと感じる人もいるのではないでしょうか。
しかも、中古物件を個人から買う場合、消費税はかかりません。つまり、増税の影響はゼロ。
8%から10%へ、消費増税するにあたって、制度に変化がある主なものが「住宅ローン減税」と「住まい給付金」です。
住宅ローン減税とは、住宅ローンを組む際に金利負担の軽減を図るための国の制度。
消費税8%の現在、毎年末の住宅ローン残高の1%が10年間、所得税(引ききれない場合、一部住民税)から控除されます。
10%に増税した場合、3年間延長され、計13年間控除を受けられます。延長された11年目~13年目は、当初10年と同じ「住宅ローン残高の1%」か、「建物価格の2%の3分の1」のいずれか少ない方の金額が減税の対象となります。
たとえば、夫婦、子ども(2歳)、夫の収入675万円(課税所得344万円)、住宅価格5000万円(うち借入3500万円)、固定金利1%、元利均等35年でシミュレーションをすると……。
増税前10年間の総控除額は約310万円、増税後13年間の総控除額は約386万円と、約76万円の差額が生まれます。増税で生まれた差額50万円をカバーするどころか、増税前よりも約26万円もお得に!
さらに、すまい給付金も対象者、給付金額が拡大されるのです。
すまい給付金は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するための国の制度。8%時は収入額の目安が510万円以下で最大30万円、10%時は収入額の目安が775万円以下で最大50万円が給付されます。
詳細を知りたければ、住まい給付金の公式サイトで、実際にシミュレーションができますよ。上に挙げた事例で言えば、増税前は0円だったのに対し、増税後は20万円が給付されることに!住宅ローン減税も合わせて、増税前よりも増税後に購入した方が制度面だけで言えば、約46万円もお得になる計算になります。
住宅資金として、親や祖父母から贈与を受ける場合、「住宅取得資金等贈与の非課税」制度も増税後に変化します。
2020年3月31日までに住宅を購入する場合、一般住宅の非課税枠が、消費税8%では700万円までですが、消費税10%では2500万円まで、と大幅に増えます。さらに、条件を満たす「省エネ等住宅」は追加でそれぞれ500万円の贈与を非課税で受けることが可能。
親や祖父母から資金援助が受けられる家庭において、非課税枠の増加の影響は大きいはず。
このように、住宅購入において、国が様々な増税対策を行なっているので、消費税前に買ったほうがいい!と駆け込む必要はないんです。むしろ、増税後に買ったほうがお得になることも。
一方で、忘れてはいけないのが、物件価格そのものが、消費税の税率以上に変動する可能性です。消費税増税前に駆け込み購入をしたり、逆に制度をふまえてあえて消費税が10%になってから購入する人が増加すれば、需要が増えたタイミングの物件価格が高くなることも考えられます。
制度は制度として確認しつつ、消費増税のタイミングに振り回されず、本当に、自分たちのニーズにあった物件を仕様や予算で絞り込んで購入することをおすすめします。
<監修>
風呂内亜矢(ファイナンシャルプランナー)
<ライター>
徳留里香
<提供>
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